明末中國佛教の研究 2f05

智旭の述作観念・述作態度およびすべての著作の分類考察・成立年代の推定・現存別行本の比較などを論じた。第五章の「智旭思想の形成と展開」では、編年にしたがって、智旭の青年期・壮年前期・壮年後期・晩年期の四段階に分けて、智旭の禅・教・律一致、性相融会、天台教観などの思想について論述し、その帰結するところとして、彼の浄土念仏思想を示した。第五章第五節では、智旭の思想全体の肝要を資料によって具体的に論述し、結論としたものである。

本書の草案は立正大学大学院に学位請求論文として提出し、一九七五年二月に学位を受けたのであるが、審査に当られた金倉円照・野村耀昌・茂田井教亨の三教授に、謹しんで感謝の意を表したい。また、化を遣された恩師坂本博士の御指導に深謝し、哀悼の意を捧げたい。

筆者は一九六九年春来日、立正大学大学院に入学の後に、故坂本先生のご推薦によって、中国における天台教学の研究をはじめたが、修士課程より博士課程修了に至る間、金倉円照・松濤誠廉・野村耀昌・中村瑞隆・影山堯雄・茂田井教亨・宮崎英修・浅井円道・塚本啓祥の諸先生より、それぞれ親しくご教導ご鞭撻をいただき、また、今は亡き布施浩岳・石津照璽両先生の講筵に列することができた。ことに坂本先生が遷化された後、途方に暮れる筆者に金倉円照・野村耀昌両博士が代ってご懇切な指導を賜ったことは望外の幸せであった。また、日本留学の間に、立正大学の山崎宏・日比宣正、大正大学の関ロ真大・福井康順・吉岡義豊、東京大学の中村元・鎌田茂雄、大谷大学の安藤俊雄、