明末中國佛教の研究 2f04

現存する智旭著作、すなわち、総計五十一種二百二十八巻に及ぶ著作を繰り返し閲読し精査した結果に立脚したものであることを明言しておきたい。

すでに前述したように、智旭の思想全体を通じて見れば、彼は明末における不世出の仏教思想家であるのみならず、また優れた仏教信仰の実践者でもあった。このことが小論の構成に関して決定的な要因となったのであり、その内容は、智旭の著作について、ただ単に智旭の教理面のみを探索するぼかりではなく、彼の時代および歴史的背景・自然環境・地理環境および生活形態・信仰行為などの諸角度から論究する必要を生じた。今、小論の構成と内容について概観すれば次の通りである。

小論は、全篇を五章で構成し、第一章は緒論としての「智旭の時代背景」であり、かつ明末仏教の概観である。智旭は丁度この明末仏教の集大成者としての位置に置かれている。第二章から第五章の第四節までは本論として、第二章の「智旭の生涯」では、智旭における歴史的な師承系統・伝記資料および歴史地理学的な生活環境と足跡を紹介し、時間と空間の縦横にわたる調査研究を意図した。第三章の「智旭の宗教的実践」では、智旭の信仰行為とその証悟境を考察した。この第三章に論述するところこそ、智旭自身の仏教生活の真頂骨を明らかに示したものである。第四章の「智旭の著作」では、