明末中國佛教の研究 138


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二 智旭の伝記資料


右に述べたように、智旭の伝記資料は、『霊峰宗論』を中心とするほかには、その量が極めて少ないが、次に、研究の便宜を計るために、智旭の伝記資料を『霊峰宗論』とその他の二類に分けて紹介しよう。

『霊峰宗論』を中心とした資料


「八不道人伝」(1)(一六五二年) これは智旭五十四歳のとき述作した自伝であり、彼の略伝記というべきものである。

「八不道人続伝」(2)(一六五五年) これは智旭の晩年の弟子である堅密成時の著述であり、智旭五十五歳から五十七歳で亡くなるまでの間の事歴を記したものである。

『浄土聖賢録』(一七八三年)巻六の「智旭」の項(3)これは居土彭希涑(4)(一七六〇ー一七九三)が、智旭の著した「八不道人伝」・「結壇持往生咒偈」(5)・「答卓左車茶話」(6)・「示念仏法門」(7)など四つの資料について、主として智旭の浄土念仏法門に対する見解を紹介しているものである。