明末中國佛教の研究 19


と四つの反論が得られる。この宋儒とは、いうまでもなく程頤と朱熹学派を指すのであり、さきに陳述したように、程朱学風の基本点は排仏揚儒であり、その理論的根拠は、仏教は逃世と厭世主義を説くのみで、現実社会の人間福祉および人倫道徳を無視して、ただ解脱境界を望むばかりであることを指摘している。儒教は之に反して、人間福祉と人倫道徳、ことに君臣・父子・夫婦などの倫常を大事にして、和楽平和の人間社会を作ることを主張している。実際には宋儒側が見る中国仏教の消極逃世の現象は、ただ出家仏教の山林にある寺院生活のみであり、本当の積極入世の大乗仏教の本質は、宋儒学派の人達には見捨られていたのである。とにかく、朱熹の排仏論は大変に激しかったが、