明末中國佛教の研究 201

智旭の懺法思想


現存する懺法関係の著作ほ、そのほとんどが天台学系統の学者によって撰述されることを見てきたが、智旭の『閲蔵知津』巻第四十二に記載されている懺儀類の著作、すなわち、智旭が当時閲読した懺法書は十八種あり、これらを図示すれば次の表となる。

以上の十八種のほかに、なお宋の大石志磐撰『水陸修斎儀軌』も智旭の作品中にみられる(4)。この『水陸修齋儀軌』ほ、梁の武帝時代に成立したといわれる『慈悲道場職法(5)』の暗示を受けて作成されたものであるが、智旭の『水陸大齋疏』から明らかとなることは、この『水陸修斎儀軌』が、元朝を経て明末に至るまでに、すでにその原初の内容を失っており、そのために雲棲株宏(一五三五ー一六一五)は、これに加筆補正したということである。そして智旭は二十四歳から二十六歳の間に、雲棲寺における
懺法名称卷數撰述者現存所属
慈悲道場懺法10梁真觀(1)大正四五
方等三昧行法1隋智顗大正四六
法華三昧懺儀1隋智顗大正四六
法華三昧行事運想補助儀1唐湛然大正四六
慈悲水懺法3(2)大正四五
金光明懺法補助儀1宋遵式大正四六
金光明最勝懺儀1宋知礼大正四六
往生浄土懺願儀1宋遵式大正四七
請観音菩薩消伏毒害陀羅尼三昧儀1宋遵式大正四六
千手千眼大悲咒行法1宋知礼大正四六
熾盛光道場念誦儀1宋遵式大正四六