明末中國佛教の研究 264

第六節 智旭における悟境の変遷と浄土信仰

一 信仰行為の年代的特質


さきに述べた如く智旭における信仰生活を分析すれば、

の六つに区分されると思う。これをみてわかるのは、血書の期間が一番短く、持咒と贖罪は同じく三十九歳までで終るが、発生の年代からすれば、贖罪信仰がより前から行なわれたものであり、ト筮信仰は彼が比丘戒の清浄輪相を得ると同時に終っている。また、礼懺信仰は彼の第四期浄土行(1)に入ったと同時に終り、最も長期に渉る信仰行為は燃香であり、二十六歳に菩薩戒を受持してから命終の最後まで、この燃香の苦行をつづけていた。この事実は、正に智旭の仏教信仰において指導原則になるのは、『梵網経』および『楞厳経』であることを示すものというべきであろう。