明末中國佛教の研究 383


5 『摩訶止観』巻五上に、「今当去丈就尺、去尺就寸。置色等四陰、但観識陰。識陰者心是也。」とある。\大正四六巻五二頁A―B

6 たとえば①宗論二ノ二巻一〇頁、②宗論二ノ二巻一三頁などを参照。

7 「答湛持公三問」参照。\宗論三ノ二巻三―四頁

8 『楞厳経玄義』巻下参照。\卍続二〇巻二〇九頁B

9 「示迦提関主」参照。\宗論二ノ一巻二〇頁

10 「安居止観山房」参照。\宗論六ノ二巻三頁

11 『大仏頂首楞厳経』の巻一から巻三までの中に説かれた七処徴心というのは、観心の①不在内・②不在外・③非潜根・④不在見内・⑤非随生・⑥不在中間・⑦非無著であり、七つの観行方法を指す。

12 「示六度」に、「衆生無始来、不知一切唯心、妄計六塵縁影為自心相。故仏頂約七処徴之、中論約四性推之、智者約四運観之。無非破縁影之妄計而己。」とある。\宗論二ノ四巻七―八頁

三 楞厳経を中心とする仏教統一論

天台教観と唯識思想の調和


この段階での智旭には、天台関係の著作に『妙玄節要』と『法華綸貫』の二書があるが、天台教学に対する智旭の見解は、この二書には現われていないと見るべきであろう。却って『楞厳経』の註釈書『玄義』と『文句』に、教相判釈の五時八教、法門理論の三諦三観・百界千如・一念三千・行位と果証並びに実践修道の十乗観法等を充分に活用している。ことに五時教判については、通五時と別五時に分けて『楞厳経玄義』の巻下に明らかにしている。そして『摩訶止観』の十乗観境説と『大乗止観』の三性止観説との調和説が見えるのは、『大乗止観釈要』巻第四であり、『成唯識論』の真心観と『大乗止観』の妄心観との矛盾点を調和するのは、『成唯識論観心法要』巻第八にみられる。