横出三界の勝異方便とは、『阿弥陀経』に説かれた称名念仏である(6)。竪出三界の念仏三昧は、禅観の自力修行によって漸次に三惑煩悩を断じ、三身四土を次第に感得することであり、横出三界の称名念仏は、阿弥陀仏の本誓願力によって極楽世界に接引往生されていくことである。そして、自力の豎出三界の法門は、「事難功漸」であるが、他力の横出三界の法門は、「事易功頓」の不思議勝異方便であるという(7)。智旭自身は、念仏三昧の鼓吹に力を尽した(8)が、それは五十歳以前に禅・教・律一致論の立場から主張したことで、晩年になると、浄土教の色彩がより一層濃くなって、他力往生の横出三界の勝異方便に没頭するようになるのである。
四種浄土
前述のように、浄土法門においては、豎出三界の自力法門と横出三界の他力方便があるが、智旭の見解では、自力と他力、あるいは豎出と横出のいずれも、浄土法門であることに違いはないとし、そして彼の仏教信仰の帰着点は浄土信仰であるということになる。
さて、浄土説について、智旭は四種浄土の説を取っており、天台大師所立の①凡聖同居土、②方便有余土、