③実報無障礙土、④常寂光土の説(9)に基づいている。また『成唯識論』巻第十の①法性土、②自受用土、③他受用土、④変化土を天台の四土説と対釈することも見えているが(10)、やはり天台の四土説に近いと見ている。すなわち、法身仏の常寂光土、自受用報身仏の実報無障礙土、他受用報身仏の方便有余土、応化身仏の凡聖同居土である。前三土に往生する人は、必ず見思・塵沙・無明の三惑を断じ、次第に方便・実報・寂光の順序によって三土に登っていく。これは自力往生の豎出三界の浄土である。但し、西方安養の凡聖同居土は自力でもよいが、見思の煩悩がまだ残っていても、他力によって横出三界の往生ができるとするのである(11)。
浄土法門に対する讃礼
浄土法門では自力と他力の二類があるけれども、智旭の浄土讃礼の中心点は他力方便の方に傾斜している。それ故彼は、
- 「示陸喩蓮」の法語に、
超生脱死、捨浄土決無直捷横超方便。而生浄土、捨念佛一法決無萬修萬去功夫。(宗論二ノ三巻二頁)
- 「示念仏三昧」に、
持名則一稱一念、頓圓無上菩提。(宗論四ノ一巻一五頁)そして、
- 「念仏卽禅観論」に、
若持名號、…(中略)…是謂勝異方便、無上法門。文殊般若経・般舟三昧経・觀無量壽佛経等、皆明此圓頓了義、而妙宗鈔、申之為詳。(宗論五ノ三巻九頁)
と、持名念仏または称名念仏と西方浄土を讃嘆している。つまり、この阿弥陀仏の念仏法門は、至円至頓・第一了義の無上法門で、しかも最も容易な法門である。もし持名念仏をすれば、