明末中國佛教の研究 47

伝道の暮しをしているのである。

4 『明清間耶穌会士訳著提要』三七一及び三八一頁参照。

5 同上書三五八頁参照。

四 雲棲祩宏の天説と智旭の闢邪集

祩宏の天説


雲棲祩宏の『竹窗三筆』の中に、「天説」三篇と「天説餘」一篇がある。その「天説」の第一篇に、彼は次のような意見を述べている。

一老宿言、有異域人、爲天主之教者、子何不辯。予以為、教人敬天、善事也、奚辯焉。老宿曰、彼欲以此、移風易俗、而兼之毀佛謗法、賢士良友、多信奉者故也。因出其書示予、乃辯其一二。(台湾印経処本『竹窗随筆』二〇八ー二〇九頁)

原則として仏教者の態度は、異端排斥をしないはずで、ことに敬天愛人のことは、仏教で言えば人天の善法であるから、反対する理由は全く無く、祩宏には反論をする気持はないが、天主教に「毀仏謗法」という不友好的の著作が見られた以上は、やむなく仏教の真義を申論なければならないという。彼の見られた天主教の書物について、書名は明示されてはいないが、この申論の内容と年代を考えると、おそらく祩宏の晩年の、利瑪竇の『天主実義』をさすものと思われる。祩宏の寂年は万暦四十三年(一六一五)、