明末中國佛教の研究 52

無始無終、能生萬物。若奉天主、則能生天、永受天楽、亦其類也。」とある。\卍続二六巻八一頁A。また同疏の巻八にも、これを語つている。

第五節 明代仏教界の動向と明末における諸問題

一 明代仏教の基盤


原則として明の仏教は、宋元仏教の継承であり、教理思想の面から見れば、ほぼ宋明の儒教の展開と同様であって、基本的にはさほど変化のないうちに進展していったといえる。

宋以来、中国仏教の基盤となる禅宗は、明と清を経て、現代に至るまで、ほとんど変っていない。けれども禅寺出身の禅僧から他の教理の研究および教学の宣揚に転出する人があったにもかかわらず、なおその禅中心の仏教態勢は、変更していない。禅寺から天台・華厳・または律寺に転換する場合も、べつに怪しむべきことではなく、また再び禅寺に戻っていくことも可能であった。終始一貫して、天台・華厳・律寺として持続し、不変不易の寺院は、実に極めて少数なのである。

明代儒教の代表者としては、王陽明の学派がある。この学派は宋の程朱思想よりも更に仏教と接近し、